医療保険は必要か?必要性を徹底検証!
そもそも医療保険は必要か?という点で悩んでいる人もいるのではないでしょうか。高額療養費制度などもありますから、ある程度以上の蓄えがあれば医療保険は必要ないという意見もあります。
医療保険は、おもに、入院や手術など、高額な医療費が発生した場合のそなえです。
公益財団法人生命保険文化センターの調べによりますと、人口に対してどのくらいの人が入院しているかという入院受療率は、10万人に対して1,090人、つまり100人に一人くらいの割合で、入院しているわけです。入院期間の長さをあらわす平均在院日数は35.6日。入院時の1日あたり自己負担額は平均16,000円となっています。
厚生労働省の医療費に関する統計を調べてみても、国民の所得に占める医療費の割合は、年々、増えているのがわかります。
このように聞くと、いざというときの医療費が心配になってきますよね。
対して、それでも医療保険はいらない、という人の意見は、おもに次の3つが代表的でしょう。
(1)高額療養費制度で、医療費の負担には上限があるから
(2)健康保険の傷病手当金があるから
(3)しっかり貯蓄があればそれでまかなえばいいから
この意見について考えてみましょう。
(1)高額療養費制度で、医療費の負担には上限があるから
たしかに、高額療養費制度を使えば、だいたい8万円程度で負担はおさえられます。ただし、それはあくまでも公的保険の対象になる医療費の部分だけだということに注意して下さい。
少人数の病室や個室を希望した場合の差額ベッド代、保険外の先進医療による治療を受けた場合、そして、通院にかかる交通費などはこの対象ではありません。
高額療養費制度があったとしても、出費のすべてが絶対に上限額内で収まるというわけではないことは知っておいたほうがいいでしょう。
「差額ベッド代」はよく聞く言葉ですが、正式には差額室料と呼ばれ、保険適用外の費用が必要な部屋(特別療養環境室)に入院する場合に必要な費用のことです。
おおむね、個室であることが多く、治療上の必要があって病院から指示される場合を除いて、「大部屋だと落ち着かないので個室がいい」などと希望すると、差額室料を負担する必要があります。厚生労働省のまとめによると5,000円程度が平均的な差額室料なようです。
「差額ベッド代」は基本的に本人の希望にもとづいて発生する費用です。
病院のすすめなのに、「同意書」への署名をもとめられて、負担させられ、トラブルになるケースもあるようですが、意識して、差額ベッド代は支払わない、というつもりであれば負担しなくてよい費用となります。
ただ、そうなると、当然、部屋は大部屋になってしまいますので、その環境をどれくらい受け入れられるかが、差額ベッド代の必要性になると言えるでしょう。
個室のほうが、入院のストレスが少ないことは想像できます。自己負担で1日5,000円が余分に必要と考えると、やはり「出費が痛いので、大部屋でがまんしよう……」という選択になると思います。
そこでもし、「医療保険の入院給付が出るから、負担なく個室に入れる」のであれば、誰も個室を希望するのではないでしょうか?
差額ベッド代が必要だから医療保険が必要、というよりも、医療保険があれば差額ベッド代も負担できるので選択の幅が広がる、と言えると思います。
(2)健康保険の傷病手当金があるから
治療費は、高額療養費制度で上限が抑えられたとしても、病気で働けなくなった場合、生活費の心配があります。
ですが、意外に知られていませんが、健康保険に加入している人で、病気などで働くことができなかった日が続いた場合、収入の保障を受けられる傷病手当金という制度があります。
健康保険では、4日以上、病気やケガのために仕事を休んだ場合、4日目から、最長で1年6か月のあいだ、支給されます。金額は、規定の標準報酬月額の60%。
おおざっぱに、給料を日給になおしてその6割が、休んだ日のぶんもらえると思えばいいでしょう。なお、有給扱いになっている場合など、休業中も収入がある場合は支給されなかったり、減額されたりします。
こんな制度があるのだったら、ぜんぜん心配いらない!と思う人もいるでしょう。
たしかに、かなり助かる制度です。ただ、すべての人が利用できるわけではないことも注意して下さい。国民健康保険ではない制度ですし(一部の市町村では実施されていることもあります)、あくまでも休業中の収入を保障するという趣旨から、もともと働いていない場合や退職した場合は支給されません。
(3)しっかり貯蓄があればそれでまかなえばいいから
最後に貯蓄があればよいという意見について。
たしかにそのとおりで、保険に入らなければその保険料ぶんを貯蓄することもできます。掛け捨ての保険だと、支払った保険料は戻ってきませんから、どうしても損したような気持ちになるものです。
医療保険の保険金をもらったとしても、金額がそれまでに払い込んだ保険料の総額より少なかったとしたら、やっぱり、保険に入らず自分で貯蓄しておけばよかった、となるかもしれませんね。
でも、考えてみて下さい。まず、本当にそれだけの貯蓄が確実にできるのかということ。今すでに貯蓄があるよ、という人でも、そのお金は、いつでも、何にでも使うことができます。
家や車を買う、結婚する、起業する……といった大きな出費があれば、貯蓄は減ってしまうかもしれません。使うかどうかわからない医療費のために、貯蓄をとっておくよりも、自分の人生のために意義ある使い方なら使ったほうがいいでしょう。
でも、病気やケガはいつ起こるかわかりません。
貯蓄というものは、どちらかというと、「将来、必要になるなにか」のためにお金を貯めておくということです。医療費のように、「使うかどうかわからないもの」のために貯めるのは、実は、あまりふさわしくないものなのです。そういったもののためにこそ、保険は存在します。
このように考えていくと、医療保険は必要かどうかということは、一概にどちらだと言えるようなものではなく、人によるもの、考え方によるものだということがわかるでしょう。
高額療養費制度や傷病手当金を利用することはもちろん、差額ベッド代が発生するようなことはせず、医療費を節約する努力を自分でできる人。
そのうえで、いざという時に使える貯蓄を、他のことに使わずにつねにキープしておけるという人なら、医療保険にまったく入らなくても心配はいらないと思います。
反対に、貯蓄が苦手だという人は、強制的に毎月保険料が引き落とされていて、もしものときに確実にお金がもらえる保険があったほうがありがたいでしょう。
最近は保険料も安くなってきています。月額数千円で、病気やケガになったときの不安がなくなるなら、医療保険に入るのをオススメします。
医療保険は、おもに、入院や手術など、高額な医療費が発生した場合のそなえです。
公益財団法人生命保険文化センターの調べによりますと、人口に対してどのくらいの人が入院しているかという入院受療率は、10万人に対して1,090人、つまり100人に一人くらいの割合で、入院しているわけです。入院期間の長さをあらわす平均在院日数は35.6日。入院時の1日あたり自己負担額は平均16,000円となっています。
厚生労働省の医療費に関する統計を調べてみても、国民の所得に占める医療費の割合は、年々、増えているのがわかります。
年次 | 所得に占める医療費の割合 |
---|---|
1999年 | 8.43% |
2000年 | 8.11% |
2001年 | 8.61% |
2002年 | 8.70% |
2003年 | 8.81% |
2004年 | 8.82% |
2005年 | 9.05% |
2006年 | 8.83% |
2007年 | 9.02% |
2008年 | 9.90% |
対して、それでも医療保険はいらない、という人の意見は、おもに次の3つが代表的でしょう。
(1)高額療養費制度で、医療費の負担には上限があるから
(2)健康保険の傷病手当金があるから
(3)しっかり貯蓄があればそれでまかなえばいいから
この意見について考えてみましょう。
(1)高額療養費制度で、医療費の負担には上限があるから
たしかに、高額療養費制度を使えば、だいたい8万円程度で負担はおさえられます。ただし、それはあくまでも公的保険の対象になる医療費の部分だけだということに注意して下さい。
少人数の病室や個室を希望した場合の差額ベッド代、保険外の先進医療による治療を受けた場合、そして、通院にかかる交通費などはこの対象ではありません。
高額療養費制度があったとしても、出費のすべてが絶対に上限額内で収まるというわけではないことは知っておいたほうがいいでしょう。
「差額ベッド代」はよく聞く言葉ですが、正式には差額室料と呼ばれ、保険適用外の費用が必要な部屋(特別療養環境室)に入院する場合に必要な費用のことです。
おおむね、個室であることが多く、治療上の必要があって病院から指示される場合を除いて、「大部屋だと落ち着かないので個室がいい」などと希望すると、差額室料を負担する必要があります。厚生労働省のまとめによると5,000円程度が平均的な差額室料なようです。
「差額ベッド代」は基本的に本人の希望にもとづいて発生する費用です。
病院のすすめなのに、「同意書」への署名をもとめられて、負担させられ、トラブルになるケースもあるようですが、意識して、差額ベッド代は支払わない、というつもりであれば負担しなくてよい費用となります。
ただ、そうなると、当然、部屋は大部屋になってしまいますので、その環境をどれくらい受け入れられるかが、差額ベッド代の必要性になると言えるでしょう。
個室のほうが、入院のストレスが少ないことは想像できます。自己負担で1日5,000円が余分に必要と考えると、やはり「出費が痛いので、大部屋でがまんしよう……」という選択になると思います。
そこでもし、「医療保険の入院給付が出るから、負担なく個室に入れる」のであれば、誰も個室を希望するのではないでしょうか?
差額ベッド代が必要だから医療保険が必要、というよりも、医療保険があれば差額ベッド代も負担できるので選択の幅が広がる、と言えると思います。
(2)健康保険の傷病手当金があるから
治療費は、高額療養費制度で上限が抑えられたとしても、病気で働けなくなった場合、生活費の心配があります。
ですが、意外に知られていませんが、健康保険に加入している人で、病気などで働くことができなかった日が続いた場合、収入の保障を受けられる傷病手当金という制度があります。
健康保険では、4日以上、病気やケガのために仕事を休んだ場合、4日目から、最長で1年6か月のあいだ、支給されます。金額は、規定の標準報酬月額の60%。
おおざっぱに、給料を日給になおしてその6割が、休んだ日のぶんもらえると思えばいいでしょう。なお、有給扱いになっている場合など、休業中も収入がある場合は支給されなかったり、減額されたりします。
こんな制度があるのだったら、ぜんぜん心配いらない!と思う人もいるでしょう。
たしかに、かなり助かる制度です。ただ、すべての人が利用できるわけではないことも注意して下さい。国民健康保険ではない制度ですし(一部の市町村では実施されていることもあります)、あくまでも休業中の収入を保障するという趣旨から、もともと働いていない場合や退職した場合は支給されません。
(3)しっかり貯蓄があればそれでまかなえばいいから
最後に貯蓄があればよいという意見について。
たしかにそのとおりで、保険に入らなければその保険料ぶんを貯蓄することもできます。掛け捨ての保険だと、支払った保険料は戻ってきませんから、どうしても損したような気持ちになるものです。
医療保険の保険金をもらったとしても、金額がそれまでに払い込んだ保険料の総額より少なかったとしたら、やっぱり、保険に入らず自分で貯蓄しておけばよかった、となるかもしれませんね。
でも、考えてみて下さい。まず、本当にそれだけの貯蓄が確実にできるのかということ。今すでに貯蓄があるよ、という人でも、そのお金は、いつでも、何にでも使うことができます。
家や車を買う、結婚する、起業する……といった大きな出費があれば、貯蓄は減ってしまうかもしれません。使うかどうかわからない医療費のために、貯蓄をとっておくよりも、自分の人生のために意義ある使い方なら使ったほうがいいでしょう。
でも、病気やケガはいつ起こるかわかりません。
貯蓄というものは、どちらかというと、「将来、必要になるなにか」のためにお金を貯めておくということです。医療費のように、「使うかどうかわからないもの」のために貯めるのは、実は、あまりふさわしくないものなのです。そういったもののためにこそ、保険は存在します。
このように考えていくと、医療保険は必要かどうかということは、一概にどちらだと言えるようなものではなく、人によるもの、考え方によるものだということがわかるでしょう。
高額療養費制度や傷病手当金を利用することはもちろん、差額ベッド代が発生するようなことはせず、医療費を節約する努力を自分でできる人。
そのうえで、いざという時に使える貯蓄を、他のことに使わずにつねにキープしておけるという人なら、医療保険にまったく入らなくても心配はいらないと思います。
反対に、貯蓄が苦手だという人は、強制的に毎月保険料が引き落とされていて、もしものときに確実にお金がもらえる保険があったほうがありがたいでしょう。
最近は保険料も安くなってきています。月額数千円で、病気やケガになったときの不安がなくなるなら、医療保険に入るのをオススメします。
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